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霧の双塔(黄金の太陽32回目)

テーマ:ライトノベル - ジャンル:小説・文学

ティファレットとの結婚を翌年の秋と定め、その冬はオーミとネツァークの
間を手紙や使者が絶え間なく行き交う。
太陽が眠る冬には祭儀を行えない決まりなので、オースィラとエフワズも
仮の婚約式を挙げただけだった。
彼らの聖婚式も、ライゾたちに続いて行われる。
その前の夏にはライゾとアツィルナ・マルクトの会談も予定されていた。
それらの準備にソウェルを送り出すための根回しもあったので、
長い冬でもライゾが退屈する日は一日もない。
「陛下、王太后陛下がお呼びでございます。」
加えてソウェルを遊学にネツァークへ遣ると知らせた日から、ライゾは
3日と空けず母アサに呼ばれて花の谷の離れを訪れていた。
「日没後に伺うとお伝えしてください。」
側近たちに囲まれ執務机から顔を上げないライゾに、女官が申し訳なさそうな
上目遣いで重ね言う。
「それが、どうしてもお話したいので今直ぐにお呼びせよとの強い
お申し付けで…」
初めは母と会えることが嬉しかったライゾも、今は憂鬱にならずにいられない。
笑いあうことも触れ合うこともなくなって久しく、そして話の内容は
ライゾにも女官にもわかっている。
なぜソウェルを異国へ遣るのか。
もう何度となく繰り返した問答だ。
しかも母の呼び出しは時間を考慮しない。ライゾはため息をつく。
「わかりました。すぐに伺います。」
言いつけを果たせてほっとした女官は、一礼して王の気が変わらないうちに
足早に立ち去った。
ライゾが席を立つと、イェーラも腰を上げる。
「いい。こっちはスヴェインと行くから、
アルヴィースのところに行って今日の分の編纂作業を引き継いでくれ。
書庫にいると思う。
アルヴィースは俺の代理で午後の引見を頼むと伝えてくれ。
母上のお話が済み次第すぐに行くから。
ついでにヤルル、イェーラと書庫へ行って聖婚式の典礼資料をここへ
運んでくれ。引見終了までに時代別整理を頼む。」
太陽殿から花の谷の離れへはフラールを通っても往復で半センク(1時間)以上
かかる。
ライゾはいつも狭い通路を走り抜けるように急いだ。
海賊あがりの体力が、彼の大きな支えだった。
離れに着くと、扉の前で呼吸を整える。
去年の今ごろはフェフの調査と戦いの準備に忙殺されて、とうとう一度も
訪れなかった部屋。
イェーラやエルストラ、どんな男も敵わない強い女たちと母は
真逆の女だと知っていたのに、見舞いもしなかった。
どんな無理をしても、母の不興をかってでも、ここを訪ねここから外へ
連れ出すべきだったと後悔しながら扉を開ける。
彼女の第一声はいつも同じだ。
「ライゾ、ソウェルはどこです?」
ライゾの答えも同じだ。
「太陽殿におります、母上。」
帳を閉ざした室内に、鎮静剤代わりの香がひっそりとくゆっている。
「あの子は何をしているの?」
「この時間は語学です。」
「ネツァーク語を習わせているのですね。」
皮肉めいた抑揚に、ライゾは苦い笑いを含む。
「私も習ったのですよ、母上。ネツァーク語、ベルカナ語、マクール語、
スクルド語は必須。それにユシヤ、ヤールク、ロッコ、エムブラ。
母上も幾つかはお話しでしょう。同盟国や取引国の言葉は重要です。」
「そう。ならあなたは、わたくしがこの時間、何をしているか
知っていて?」
ライゾは答えない。知らないのではなく、言いたくないのだ。
「祈っているわ。毎日祈っています。亡きアルギスとユマラに、わたくしの
息子を本来の道に戻してくださるように。
母の願いを聞き入れて、弟を追い出したりしないでくれるように、
祈っています」
祈って国が守れるならどんなにいいだろう。祈りは民のもの。生き神たる
王族はそれを叶えるのが務めだ。何度も何度も言葉を尽くして
理解を求めた。
それでも夫を亡くして以来、ソウェルしか見えないアサは同じ言葉を繰り返す。
彼女が徐々に正常な精神状態から逸脱しつつあるのを日々感じながら、
どうすることもできないままにライゾもただ繰り返した。
「母上、私はソウェルを追い出すのではありません。
ソウェルはソレイの巫女の託宣に従って、ほんのしばらく異国に見聞を広め、
すぐに帰ってくるのです。」
本当の理由を話せば、亡夫の遺言を母に見せることになる。
その死の真相を知れば、今度こそ彼女の精神は打ち砕かれてしまうだろう。
心を落ち着かせる香を焚き、刺激を避けろと侍医は言った。
話すに話せないライゾは父を真似て、有無を言わせぬ力を持つソレイの
巫女姫の神託として伝えたのだった。
「自分の母より巫女の言うことを重んじるのですか、顔を見たこともない
巫女の!もうわたくしを愛してないの?」
的外れな問いに、それでも誠実に答えようとする。
「母上、ライゾはどこにいても何をしていても、母上を愛さない日はありません。」
アサは唇を引き結び、悔しげに、今にも泣き出しそうに顔を背けた。
「嘘です」
気持ちを抑えられず考えるより先に思ったことを口走る。
それが彼女の癖だと知りながら、未だにライゾは傷つけられる。
「なぜ嘘だとお思いですか。心から敬愛しております。」
父がいてくれればよかったのに。父さえいれば、彼女は幸せな優しい女で
あれたのに。
「ではなぜわたくしの頼みを聞いてくれないの!」
美しく整った眉をしかめ、声涙倶に下しての訴えは、ライゾの胸に痛みを走らせる。
「お願いよライゾ、わたくしからあの子を取り上げないで。
わたくしを愛しているなら、その証に頼みを聞いて」
かつてライゾ自身が旅立ったときも、彼女はこうして夫に乞うたのだろうか。
その哀れな姿に決意が崩れそうになるのを押しとどめ、根気よく語りかけた。
「私は母上もソウェルも大切に思っています。
だから神託に従うのです。
それがソウェルのためだと信じるからです。」
「もう沢山です!いつもわたくしから大事なものを奪う神託なんて
聞きたくありません!
よく分かりました、やはりあなたはソウェルが邪魔なのよ。
信じていたのに。そんな話は嘘だと信じていたのに!
でもアルギスは知っていたんだわ、あなたの本性を。だからソウェルを
跡継ぎにしたかったのだわ」
アサの紅潮していた頬がみるみる青ざめる。
けれど青ざめたのは彼女だけではない。
「そんな話?母上、何の話を」
「分かっているのですよ。アルギスはソウェルを跡継ぎにするつもりだった。
あなたはそれを知って腹を立てて、それでアルギスを」
アルギスを?アルギスをどうしたと。
思いつきもしなかった言葉に、ライゾは一瞬強烈な眩暈を感じた。
香のにおいが頭を包んで侵していくようで、足をとられてふらついた身体を
咄嗟に踏み出した一歩で踏みとどめる。
「寄らないで!あなたはその手で、イェーラと二人でアルギスを弑したのね。
そうしてソウェルを追い払って、このオーミをネツァークに売り渡す
つもりなのだわ」
「母上、何、何の話を」
言っていることが滅茶苦茶だ。けれど問題はそれだけではない。
「白々しい芝居をしないで!そうよ、アルギスが逝ったときも
あなたは落ち着き払っていたわ。それに、あの処刑された大臣の息子、
アルギスを弑した犯人、それが本当なら、なぜ親族を連座させなかったの。
追放さえせずそばに置いたのはなぜ。
あまつさえ彼らのかわりの弟を追放して敵の娘を后にしようだなんて、
あなたは闇の園の使いだわ!
人の血を好む野蛮な海賊たちが、寄ってたかってわたくしの息子を
魔道に墜としてしまったのよ!」
ライゾは体中から血の気が引くのを感じた。
そんな話、と彼女は言った。
彼女自身が生み出した妄想なら、そうは言わないだろう。
つまり彼女に<そんな話>をした者がいるということではないのか。
外界との接触を絶ち、決まった女官や神官、ひと握りの身内しか出入りしない、
巷の噂も届かない神殿の離れで暮らす母。
世のことから離れたいと言った彼女の望むままに、ライゾは最低限の報告しか
許可していない。
なのになぜ彼女は、まだ伝えていなかったライゾの結婚話まで知っているのか。
女官が漏らしたのならまだいい。けれどもし。
ライゾの背筋がざわざわと総毛立つ。
「母上、その話を誰が」
彼女の妄想ではなく囁いた者がいるなら、それこそが
二人目の死神だ。
「誰がそんな話を母上に吹き込んだのですか」
不貞腐れたように視線をそらした彼女に、死神の嘲笑う影が重なるようで、
ライゾは戦慄した。
「母上!」
いきなり肩を掴まれ、アサは目を見開く。同時に焦りからくるライゾの容赦ない
力に恐れを隠さない。
色をなして繰り返し問うてくるライゾの瞳を間近に見ていると、アサの
思考は麻痺して立ち止まり、声という音だけが遠くで響く銅鑼のように
虚しく彼女の中で谺すだけだ。
「どうか答えてください母上、それを母上に言上したのは誰なのですか。
大切なことなのです。ソウェルのために、どうか名を教えてください…!」
ソウェルの名前に反応したのか、呆けたようになっていた彼女の瞳が
焦点を取り戻す。
「ソウェル、を、ここにとどめると約束するなら、言いましょう」
ライゾは苛立ちに歯噛みした。どう言えば事の重大さを認識してもらえるのか。
「母上、これはソウェルの命に関わることです。
教えてください、誰なのですか」
ライゾの緊張に冷えた指先が小刻みに震える。その必死の面持ちさえ
アサには魔物の形相と変わりなく、怒鳴らないよう低く抑えた声音すら、
彼女を恐怖に引き攣らせるだけだった。
「手をお放しなさいライゾ!
本当だったのね。いいえ嘘、信じないわ、嫌です、そんなのは嫌!
なんてことなの、どうしてそうまでソウェルを追い出そうとするの。
なぜそんな怖い顔をするの。そうでしょうアルギス、心に疚しいことがないなら
名前なんて尋ねる必要もないはずだと言ったわ。
ソウェルを邪魔だと思っていないなら、愚かな勘繰りだと一蹴するはずだって!
いいえ、疑うことが悪だわ。でも違う。
信じないわ、本当だったのね。嫌です、嫌よ!」
彼女の声が少しずつ上ずり、言葉が混迷を深めていく。
その光景に、ライゾの中で激しい悲しみと怒りが沸々と煮える。
母に対するものではない。
夫を亡くした嘆きに正常な思考も失うほど傷ついたか弱い女の精神に、
毒の言葉で疑惑を植え付け、裏切りの恐怖を抜けない楔のように打ち込んで
狂気の淵まで追い詰めた者。
息子が夫を殺したと信じ込ませ、心と絆を打ち砕き、愛も信頼も踏みにじって
苦しめた者。
それが内なる二人目の死神でなくて何だろう。
「…母上、私は」
その瞬間、ライゾは再び視界が眩むような感覚に捕らわれる。
香がきつすぎるのだろうか。
何の香だろう。どこかで嗅いだことがあるような。
陛下」
その肩を支えたスヴェインが、袖で口元を覆いながらライゾに耳打ちする。
「これは鎮痛香ではないのでは」
長椅子に伏して泣くアサに、場を外していた女官と侍女が見かねてそっと入室する。
侍女がアサの丸めた背中を抱きかかえ優しくさすって宥めるそばで、
女官がライゾに頭を下げた。
「申し訳ございません陛下、しばしお時間をくださいませ。
すぐに疲れてお休みになられますので、今はご容赦を。」
手慣れた侍女の様子は、この錯乱状態が常習的であることを語っている。
ライゾは固く拳を握る。
なぜ気づかなかった。
気づいてやれなかったのか。母親がこんなになる前に。
こうなるまでにどれだけ多くの時間を、彼女はこの部屋でひとり
泣き暮らしていたのか。
外は明るい昼下がりだというのに、帳を閉ざしたこの薄暗い部屋で彼女は
独り。じわじわと心を蝕む苦痛は、恐ろしかっただろう。
あんなに美しかった人を、こんなにやつれさせてしまったなんて。
そうだ、これは鎮痛香ではない。
ライゾが香炉をにらんだまま侍女に命じる。
「今直ぐ母上をこの部屋からお連れしろ。
外の庭園に出て半センク経つまで絶対に戻るな。」
有無を言わせぬ険しい声音に、侍女は慌てて従った。
二人の姿が扉の向こうへ消えると、ライゾは腰に帯びた剣を鞘から引き抜き、
長椅子のそばの香炉を叩き割った。
同時にスヴェインに剣を向けられた女官が、悲鳴を上げて床にへたり込む。
「この香を用意したのは誰だ。おまえか?さっきの侍女か」
女官は陸に上がった魚のように口を動かすばかりだった。
「これはケーナ。マクール特製の麻薬香だ。
これを用意したのがおまえなら、今からおまえを拷問にかける。
誰が用意したものか話さなかった場合も同様だ。
答えろ。」
「麻、では、あれは、」
息を呑んで女官は身を起こし、姿勢を正すと改めてひれ伏した。
「申し上げます。その香は、先ごろ私が王太后さまにご用意したもので
ございます。
これまでは王太后さまは薬草による鎮痛薬をお使いでしたが、
ちかごろではあまりお飲みくださらないので、香に変えようと侍医殿が
申され、フリョーズの町から取り寄せるとのことでございました。
陛下、この命に誓って申し上げます。私も侍女も侍医殿も、これが危険な
麻薬だとは存じておりませんでした。
実はこれを取り寄せた折、いつもなら侍医殿のところからこの離れへ
私に宛てて届くはずの薬の包みが、フリョーズから直接、私宛てに
届いたのでございます。
私はそれを侍医殿の手配と誤解し、このひと月ほど毎日お焚きしておりました。
私の不注意でこのように王太后さまをお苦しめしてしまったこと、申し開きも
ございません。
慎んで、咎をお受けいたします。」
女官の声は落ち着いていた。こんな腹の据わった眼を、ライゾは知っている。
ピナやハルバ、ライゾのために自分を捧げてくれる彼らと同じ眼差しを
彼女は見せている。
「…よくわかった。」
ライゾが剣を収めると、スヴェインもそれにならう。
「明日、母上の侍医と一緒に包みの残りをもって太陽殿へ来い。
それから今後は母上を一日一度は必ず庭園へお連れし、外の空気に触れて
いただくように。短時間でもできれば少しずつ散歩をしていただくことだ。」
「…御意のままに。」
離れを出るとすぐ、ライゾはスヴェインに言った。
「世界王の騎士に関する調査を再開する。
ただし今度は内に向けてだ。どの神官や大臣の自宅にも立ち入れる権利を
おまえが行使できるよう指示しておく。」
フラールに入る前、侍女に連れられ庭園を横切る母の姿が遠目に見えた。
東屋をふらふらと歩いている。
除雪された道以外は雪が厚く積んでいた。
動植物が深い眠りに沈黙する冬。
薄く差す陽光を明るく弾く雪の間に間に、それがライゾが母の姿を見た
最後になった。



つづきます


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霧の双塔(黄金の太陽33回目)

テーマ:ライトノベル - ジャンル:小説・文学

その日から、母の呼び出しは途絶え、見舞いもライゾは拒否された。
閉ざされたその扉の奥にこそ、死神は潜んでいるというのに。
一刻も早く引きずり出さなくては、母の命が危うい。
ライゾは離れへのソウェルの出入りを一切差し止め、出入りする侍女、女官、
神官を順に呼び出して脅したり賺したりの尋問を繰り返した。
急がなければ。
峰に積もる雪が溶け、木の芽が動き始める季節がもうすぐそこまで来ている。
「ということは、神官と大臣たちの自宅は、ひと通り調べ終わったのか」
成果がなかったことに、ライゾは肩を落とす。
「御意に。」
武官らしい無表情で答えるスヴェインの声も固い。
「このままでは埒が明きませんね。いっそ全員を片っ端から拷問にでも
かけますか」
ライゾは何度目かの見舞いを断られ、午後の引見を控えて花の谷の離れから
太陽殿へ、2人の側近と近衛隊長を供に移動中だった。
そのアルヴィースのやや捨て鉢な意見に対してヤルルが反論する。
「やめてくれ。拷問官の給料がいくらか知ってるのか君は。」
「知らないね。払うのは僕の仕事じゃない。」
「国庫は無限じゃないんだぞ。君の権限で拷問官を増やす気なら
給料は君の分から差し引くからな。
でなきゃ自分でやれ。殺さずに死んだほうがましだと思わせる技術が
君にあるならな。」
「筋違いもいいところだヤルル。一度言おうと思ってたんだが、君は金に
憑かれすぎてる。病的だよ。
だからそんなおかしなことを言い出すんだ。」
「その病気を君も患う気があるなら、いい儲け口を紹介するぞ。」
「結構だ。どうせ君にとってのみの儲け口だろう。カモにされるのは
ごめんだね。それに神官や大臣方相手に怪しげな商売も感心しないな。」
「人聞きが悪いな。僕は施療所を建てるのに出資者を募っただけさ。
民は助かる、金は節約できる、大臣と神官は名を上げる。万々歳じゃないか。」
「それが君の商売じゃないって言うなら、君の名前がついたあの施療所の横の
広大な薬草園は何だ?国内最大規模だぞ?
あの施療所で使うには多すぎやしないか?」
「陛下が下さった廃園を有効活用することの何が問題かわからないね。」
確かにライゾはアトリ四神山の裾野に取り残されていた廃園を無期限無利息で
ヤルルに貸した。
ただの荒れた園を一大事業にしたヤルルの手腕に舌を巻きつつも、2人の会話に
笑いを含む。
「大体あんないい土地を空っぽの藪にして放置してたら、そのうち
誰が何に勝手に使うか、分かったものじゃない。管理するのは大事なことだろ。」
その瞬間、ふとライゾが足を止める。
「陛下?」
様子を窺ったスヴェインが、ライゾの凍りついたような表情に思わず身構えた。
「どうされました?」
ヤルルとアルヴィースが声をそろえた。
空っぽの藪を管理する。
ライゾの鼓動が、悪い予感に大きくなる。
「スヴェイン、フェフの、ペルスの屋敷は今どうなっている」
一瞬で全員の顔が強張る。
フェフは処刑され、その母フォルセトは自決し、父であるかつての主席執政大臣
ペルスは王都を追われ。以来、その屋敷は封鎖されたままだった。
「好奇心などから立ち入る輩を防ぐために施錠の見回りは2~3日に一度
続けるよう指示しておりますが」
「外から入った者がいないなら、中から、地下からは?」
あの時、散々調べつくされ、その後は立ち入る者もない空っぽの屋敷は、
死神の依り代に最適ではないのか。
逸る鼓動を抑えようと、ライゾは息を吐いた。
「ヤルル、アルヴィース」
「御意に!」
行けと言われるまでもなく、2人の側近は駆け出した。
「スヴェイン、月神殿に戻ってくれ。しばらく母上のそばに」
「はい、しかし陛下お一人では」
「大丈夫だ。書斎にイェーラがいる。」
そこで彼女は今日の分の編纂作業を進めているはずだった。
太陽殿に入る裏門のすぐ手前で、ライゾはスヴェインと分かれた。
大回廊の北西を回り、書斎でイェーラと会ってそこから執務室のほうへ抜け、
中庭の脇を通って謁見の間に入るつもりだった。
また書斎の隣には書庫と、ソウェルが勉強に使っている読書室があった。
その書庫を通過したとき、前方で書斎の扉が内側から開かれたのだ。
見るとイェーラが怪訝な様子で辺りを窺っている。
彼女はライゾの姿を見かけると、血相を変えて走り寄る。
「陛下、お一人ですか、スヴェインは」
「裏門で分かれた。イェーラ、顔色が」
彼女は人差し指を立て、射るような目で周囲を見回す。
「静か過ぎる」
ライゾははっとして振り返った。
聞こえるのは、中庭でさえずる鳥の声と、裏庭で流れる泉水の音。
人の気配がない。
ライソが花の谷の離れへ行く前は、違和感なく聞こえていた音が何もしない。
2人の背に悪寒が走る。
やられた。
なんという失態。
「くそっ、どこに」
言いかけたところへ、急ぎ足で回廊を横切ろうとする一人の奴隷が見えた。
イェーラが呼び止めると、彼は慌てて膝を付き頭を垂れる。
「遅れまして申し訳ございません!
あの、陛下と野外祭儀場へお出ましではなかったのですか」
辺りを見回し、同時に剣を抜いたライゾとイェーラの意志を読み違え、
彼は短い悲鳴を上げた。
慌ててライゾが彼を制止する。
「斬るのはおまえじゃない。何があった?」
「あの、恐れながら申し上げます。陛下より緊急のお話があるので
神殿内の者は急ぎ一人残らず野外祭儀場へ集まるように、主席大臣ペルス様から
ご下命があったと。あの、私は何か聞き違いをしておりましたでしょうか?
失礼ながらペルス様はもう、おいでではないと伺っておりました。」
ペルス。
その名にライゾがイェーラと視線を合わせた刹那。
奴隷はくぐもったおくびのような声とともに、どっと2人の足元に
倒れこんだ。
その背に刺さった一本の矢。
それが飛んできたと思しき方向に顔を上げた、途端。
2人に向かって数本の矢が一直線に飛来する。
2人は咄嗟に剣を振りかざした。矢が音を立てて弾かれ、あるいは折れて
床に散らばるる。
さらに庭園の茂みのそこここから放たれる矢を、2人は奴隷の遺体をも使って
防ぐしかなかった。
やがて矢が尽きたか、柱と重なる茂みの影から5人の男が飛び出し、
一斉に斬りかかってくる。
ライゾは右側からの斬撃を右手の剣で止めると、腰に残った鞘を左で抜いて
逆手で何とか左側の攻撃を受け止めた。
重い音を立てて鞘が折れ、宙に舞う。
ぎりりと軋む右手の剣をそのままに、ライゾは手元に短く残った鞘の割れて尖った
先端で、逆手のまま男の喉を一気にかき切った。
折れて飛んでいった鞘の先が、床に落ちて高い音を響かせる。
抉られた喉を押さえて男が倒れるより早く、ライゾは鞘を離して男の手から
こぼれた剣を掴み取り、そのまま右の男の腹部を貫いた。
「死ねくそったれ騎士!」
ライゾと背中合わせに立ったイェーラのほうを振り向くと、その左の二の腕に
ざっくりと食い込んだ1本の剣が視界に入る。
「イェーラ!」
直後、ライゾの双剣はイェーラに斬りつける男の頭蓋に2本並んでめり込んだ。
同時にイェーラが、鍔迫り合いしていた右側の男の腹を蹴って詰められた間合いを離し、
それを袈裟懸けに切り伏せる。
先にイェーラに蹴倒され倒れ込んでいた床から立ち上がった最後の男は、
ライゾとイェーラ2人の剣を両脇腹に刺されて再び床に沈む。
ネツァークで肩の筋を切られて以来、何も掴めない左腕。
肉の細くなった彼女の腕からぼたぼたと床に血が滴っている。
「イェーラ、血が」
「大丈夫だ、骨で止まってる。」
その傷をライゾが押えようとした刹那。
「陛下!」
ライゾは急激に横倒しにされ、石造りの床に強か叩きつけられた。
倒れた身体をなおも押さえつける圧迫感の下から、一瞬
眩んだ頭を庇いつつ上体を起こそうとする。
その目に映ったのは、ライゾを間に挟む2人の身体と、それを
橋渡すような2本の剣。
その一本、イェーラの右手の剣は真っ直ぐに、男の心臓を貫いていた。
そしてもう一本。腹からはみ出した腸をひきずる男の剣は、その両手に握られ、
一直線にイェーラの心臓を捉えている。
2本の刃の下、2人に挟まれたライゾの身体を突き倒し、押えていたのは
動くはずのないイェーラの左手だった。
「イェーラ」
片膝を床についた彼女の足の間から、床に流れる血が見える。
ライゾは見ていた。
立ったまま絶命している男の身体が、ゆっくりと傾き、時間をかけて倒れるのを。
その手にしっかりと握られたままの剣が、後ろへ倒れるままに引っ張られ
イェーラの胸から抜ける。
彼女の身体から、恐ろしい速さで血が流れ出す。
呼吸も忘れたライゾの眼前で、イェーラの身体が傾いた。
「イェーラ!」
慌てて支えようと背中に回した手のひらに、温かい血がみるみる溜まる。
「イェーラ、イェーラ」
命が血に溶けて流れ出す。手のひらからこぼれ、あふれ、流れていく。
「イェーラ、だめだ、イェーラ」
こぼれる血をかき集め、中に戻そうとその胸を押さえる。
けれど、止まらない。流れて流れて、止められない。
「イェーラ」
呼びかけても見開いた目に反応はなく。
「イェーラ!」
頬を数回たたくと、その唇が微かに動いた。
声にならず、僅かに読み取れた唇の動き。
陛下。
「イェーラ!」
鮮やかな赤い水溜りに落ちる、彼女の右腕。
見開いたままの瞳が焦点を失う。
それでもゆるやかに滴る鮮血がライゾの服を染め上げた。
ライゾの中で、思考と呼べるもの全てが消し飛ぶ。
逆行に視界を取られたときのように、意識が眩み、白く光って消える。
気がつくと両手に2本の剣を掴み、ライゾは走り出していた。



つづきます



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霧の双塔(黄金の太陽34回目)

テーマ:ライトノベル - ジャンル:小説・文学

大回廊を引き返せば、ソウェルのいる読書室は書庫のすぐ隣にある。
扉を勢い蹴り開けると、ソウェルのヤヴンハール・トルドが2人の男と
交戦中だった。その足元、床に倒れた男はすでにトルドが斬ったらしい。
ソウェルも必死に剣を構えている。
ライゾは間髪いれず突進し、振り向いた男のわき腹へ、左片手で突き入れた。
同時に右手でトルドと向かい合う男に横合いから斬りつける。
身をよじってライゾの剣をかわそうとした男の肘関節が切断されて
空中に弧を描く。
その刹那、トルドの剣が男の胸を貫いた。その剣が引き抜かれると、男は
どっと床に沈む。ライゾが扉を蹴り開けてから、わずか数瞬のことだった。
床に広がる血溜まりの上、ライゾはソウェルの両肩を掴む。
「無事か、怪我は」
「兄上、血が」
言われてライゾは初めて自分の体を見下ろした。
いつの間に、こんなにも血を浴びたのか。髪も服も、隙間がないほど赤い。
「俺の、血じゃない」
大回廊をほんの数ゼッド。進む間に幾人かの敵を切り伏せた。
ほとんど無意識になぎ倒した<騎士>たち。
神殿の衛兵と同じ服を着た彼らが、オーミ人ではなかったことを、ライゾの
網膜に焼きついた残像が伝える。
「陛下」
トルドの呼びかけにも答えずライゾは読書机から枝付燭台を掴みとり、
部屋の奥の壁にフラールへの隠し扉を開いた。
「来い」
ソウェルとトルドがライゾに続いて素早く小さな扉をくぐる。
狭い通路を下りながら、ライゾは響かない程度の声で話した。
「2人で今すぐオーミを出ろ」
本来予定していた出発日は、次の春祭の日だった。
国中が浮かれ騒ぐ祭りの日なら、紛れて出国するのも難しくはなかっただろう。
それを3週間後に控えた今日、彼らは充分な用意もないまま身一つで
去らなければならない。
王の子が逃げるように去らなければならない悔しさに、ソウェルは手に持っていた
剣の柄を拳の代わりに思い切り壁に叩きつけた。
けれどライゾは淡々と話し続ける。
「神殿の地下水路を小舟で3センク(6時間)行けば隔壁に当たる。その脇の梯子を
昇った上がスヴァンニ河最下流の森の中だ。河口から歩いてトレノエイル岬へ。
崖下に小舟を一艘、隠してある。」
航海にはまだ早いこの季節、小舟ではダラテナ海を出ることも難しい。
無理に外洋へ出れば、海の藻屑は必至だ。
方法があるとすれば、海流に乗って陸が見える程度の沿岸部沖合いを
南大門まで移動し、そこで航海に耐えられる船と人員を入手しなければならない。
けれど資金を取りに戻ることもできず、外国人が入り込んでいるこの様子では
港は<世界王の騎士>におさえられているかもしれない。
つまりトルドは、小舟をどうにか南大門へつけ、ソウェルを守りながら
敵の目を盗んで、丈夫で足の速い小型の帆船を奪うしかない。
無謀極まりない手段だが、他に選択肢はなく、やらなければ命が危うい。
「分かりました」
先に響いたのはソウェルの声だった。
9割以上勝ち目のないその賭けに臨む決意を、真っ先に固めたソウェル。
いつもいつも、ライゾの意識を鷲掴むような煌めきを見せつけてくれた弟。
その存在が、どんなに心強かったことか。
王国の未来を託すに相応しい心を持つ弟。その無事の成長を祈って、
ライゾは彼の旅立ちのために、このひと月、本当にたくさんの手紙を書いた。
厳重に秘されていたその宛先は、ネツァークでもドゥラスロールでもない。
「向かう先はユシヤだ。」
「ユシヤ?」
トルドが鸚鵡返しに問う。
ユシヤは東の海域の端に位置するオーミの同盟国だ。
年に2回だけ交易に来るユシヤの船は大きく強く美しく、商人たちは自国を称して
雅な文化の花開く平和な国だと伝えていた。
けれどそこはあまりに遠く、トルドとソウェルだけで動かせる程度の船で
たどり着けるとは到底、思えない。
「ユシヤへ?」
トルドはフラールを更に地下へと伸びる梯子を下りながら二度聞き返した。
「ユシヤだ。
ダラテナ諸島の南端エンナ島に、ネツァーク軍が乗り捨てていった船がある。
それが使えるだろうが、まずはハガラズへ行ってくれ」
比較的、波の静かな内海の近い島なら、小舟でもなんとか行き着ける。
梯子を縦穴の底まで下ると、今度は子供でも腰を曲げなければ通れない、
低い天井の横穴が続く。しかも枝付燭台の明かりだけでは、かなり暗い。
ライゾは少し速度を落として進んだ。
「ハガラズに、獣人と呼ばれて久しいナーカル伝道団という一族がいる。
彼らを探して、ケセド・アマルーという男を呼び出せ。
黄色い目と灰色の髪、痩せた小柄な男だ。そいつに東へ行きたいと言えば
どうにかなるはずだ。」
そう、あの灰色狼はソレイの予言を成就させたいのだ。そのために
ライゾは予定通り死ななければならない。そして予言が語る<オーミの鍵を開く
東の乙女>とやらが必要なのだ。
それならソウェルたちが東へ向かうというのに、協力しないはずはない。
「ハガラズ島のほぼ中央に小さな洞窟がある。そこが獣人とあいつを探す
手がかりだ。」
ほどなく周囲が急に開けると、そこが地下水路だ。
二本の櫂を添えた木の葉のような小舟が、そこに浮かんでいる。
そこにソウェルとトルドを乗せ、ライゾはもやいを解いた。トルドが足元から
拾い上げた松明に、ライゾは蝋燭の火を移す。
そして小さな水門を開けると、薄い氷を割って水が流れ、舟がゆるやかに
滑り出した。
ライゾは急いで首にかけたメダルを外し、ソウェルに手渡す。
<黄金の太陽>。命を伝達する個人紋章のメダルを。
みるみる離れてゆく小舟の上で、ソウェルはライゾを見上げた。
これが今生の別れだろうと子供心に悟ったか、その瞳に浮かぶ逞しくも
穢れない光が、透明な雫に揺れる。
「お元気で、兄上…」
心をこめた別れの言葉の返礼に、ライゾは父が書き遺した文言を、
今は自分の言葉に代えて弟に手向けた。
「<万難を排して生き残り、祖国を沈まぬ陽で照らせ>
ソウェル(太陽)の名を持つ、俺の弟。」


二人を見送り、ライゾは再び駆け出す。
地上へ戻り、太陽殿から月神殿へ向かってオースィラを探すには、幾人かの
敵を倒さなければならなかった。
手足が軋み、激しく息が乱れる。そうしてようやくたどり着いた彼女の居室で
死神はライゾを待っていた。
白金の短い髪と切れ長の目。青鈍の瞳と左の眦の小さな黒子。
痩せて筋張った長い腕を長椅子の背に沿って左右に広げ、悠然と佇む男。
かつての主席執政大臣ペルス。
ダラテナ海戦が決した日、神殿を去ったフェフの実父。
自殺したフォルセトの夫。そしてイェーラの養父だった男。
上陸した13歳の春、初めて彼を見てライゾは思ったのだ。
燻る燠火のような眼だと。
今その瞳は、青白い人魂にも似た光を映し、異様な熱狂に満ちている。
ライゾは不意に我を忘れ、叫びを上げて突進した。
ペルスの周囲を固めていた8人ほどの<騎士>たちが一斉にライゾを取り囲む。
その輪の中心で舞うライゾの双剣が血煙の尾を引き、瞬く間に3人が
崩れ落ちる。
が、4人目の喉元を剣が掠めた瞬間、
「兄上!」
響いた声にライゾの動きがぴたりと止まった。
その隙を見逃さず5人の男たちが飛び掛り、ライゾの身体をがっちりと
取り押さえる。
「オースィラ!」
引き立たせられたライゾが見たのは、二人の男に両腕を捕らえられた妹。
ライゾはぎりっと歯を食い締め、二人がかりで上体を羽交い絞めにされつつも、
片脚を振り上げて右前の男の鼻柱を蹴り下ろした。
するとその足を捕らえに屈んだ男の頭を足場代わりに踏み切って、捕らわれた
両腕を軸に逆上がりの要領で身を翻すと、回転の勢いのまま左右の二人を
背中から蹴り倒す。
着地と同時にさっき頭を踏んだ男の気管を狙い、喉仏に拳を打ち込む。
曲がった鼻柱から血をこぼした男が立ち上がったときには、ライゾは剣を拾い上げ、
座ったままのペルスの短髪を鷲掴んでその喉元に剣を突きつけていた。
「くそったれ騎士が!妹から手を離せ!」
けれど二人の男もペルスも微動だにしない。
「殺すぞ」
切っ先が上向かせたペルスの喉にめり込み、血が一滴、胸元まで伝った。
「結構。できるものならおやりなさい。」
答えるペルスの冷たい声に、オースィラの悲鳴が重なる。
その細い首に左右から押し付けられる白刃。
怯えて震える彼女の青い顔。
人の感情など忘れたかのようなペルスの面差しと、口角を上げた薄い唇。
断固とした眼差しは、それが脅しでないことを無言で語る。
ライゾの手から剣が滑り、血糊を散らせて床に落ちた。
男たちがすかさずその身を再び拘束する。
「ソウェル殿下はどこです」
首に流れる血の雫を指先で拭ってうるさげに振り払いながら、ペルスは立ち上がった。
男たちがライゾの膝を折り曲げ、ペルスの前にひざまずかせる。
「答えなさい。案ずることはありません。
ソウェル殿下は我らが正しき至高の玉座へお連れします。」
ライゾは荒い呼吸に肩を上下させながらペルスを睨み上げた。
「玉座が聞いて呆れる!何が世界王だくそったれ似非騎士ども!」
ペルスは大げさに溜息をつく。
「なんという醜態か。このオーミの王ともあろう者が。なんと嘆かわしい。」
堅く押えられたまま、ライゾはさらに身を乗り出す。
「形振りなんぞ構ってられるか!ソウェルをどうする気だ!」
「我らの王になっていただくのですよ。今より、そしてここから始まる
理想の国の。
国土地も身分も越え、聖なる目的のために我らは集っている。世界王の騎士が、
この世をひとつの王国にするのです。欲に駆られた戦いや、醜い裏切り合いのない
理想郷に。世界はひとつの国であるべきなのだ。
そしてそれを統べる力を持つのは、オーミを置いて他にない。」
「バラゴの後を継いだのはおまえか」
「いかにも。しかしミュゼファン王家は穢れてしまいました。
近親交の忌むべき兄弟、そして道を誤ったあなたに、もはや王たる資格はない。
正当な血筋を持ち、心の毒されていない者。
ソウェル殿下を国王に擁立し、私が王家を浄化して差し上げよう。
殿下を世界の王に。そのために我らはあえて死神の汚名を着、
聖召夜宴を開くのだ。
さあ、答えなさい。ソウェル殿下はどこにおられるのだ」
「そうして形ばかりの王を立て、おまえが権力の座に座るのか。
一体いつからそんなくだらない野望にとらわれたんだ。
おまえは、俺だけじゃない、父上も、このオーミも、民も天も裏切るのか!」
「あなたには分からない。分かってもらおうとも思わない。
真実は誰にもあるものだ。さあ言え、殿下はどこだ!」
「誇大妄想の狂人ども!死んでも絶対答えない!」
刹那、重い衝撃と激痛が後頭部に走る。
「兄上!」
剣の柄で殴られ前へのめる頭に痺れを伴った痛みが刻まれ、霞む意識の最後に
ペルスの声が聞こえた。
「双神殿へ。」




つづきます。


10章 霧の双塔 |トラックバック(0) |コメント(0)

プロフィール

シカピ

Author:シカピ
数年前、とある美声にひと耳惚れし、
そのまま声フェチに、そして
ヤンデレに行き着きました。
同じ道を通った人、いますか?

真冬以外は年中花粉症です。

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